地方公務員制度の概要

地方公務員制度の概要


地方公務員とは

地方公務員とは、都道府県や市町村などの地方公共団体に勤務する公務員のことです。国家公務員を含めた我が国の公務員の数は約333万人で、その82.4%に相当する約274.4万人が地方公務員です(平成30年度公務員白書より)。地方公務員の定義や勤務条件などについては、地方公務員法に定めがあります。
地方公務員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務します。そのため、住民の信頼を裏切ってはならない信用失墜行為の禁止や仕事上で知った秘密を漏らしてはならない守秘義務、政治的行為の制限、争議行為等の禁止など、さまざまな義務や制約があります。
一方で、公務員の身分は、法律や条例で保障されているといえます。法律や条例で定められている理由がない限り、解雇されたり、給料を減額されたりすることがないためです。

地方公務員になれない人

地方公務員法には「欠格条項」があります。欠格条項に該当すると、職員になることができず、採用試験の受験もできません。欠格条項の主なものは、以下のとおりです。

  1. 民法で定める成年被後見人又は被保佐人
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
  3. 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
  4. 日本国憲法又はその下に成立した政府を、暴力で破壊することを主張する政党等の団体を結成し、又はこれに加入した者

休日・休暇

原則として、土曜日、日曜日は週休日とされ、祝日、12月29日から1月3日までの年末年始も休日となりますが、業務内容によっては勤務する場合もあります。
休暇にはいくつか種類があります。年次休暇、特別休暇(結婚、出産、忌引、夏季など)、病気休暇、介護休暇、育児休暇などです。
年次休暇は有給で、1年につき20日間与えられます。ただし、採用された年は、採用月に応じて日数が決まります。その年に使わなかった年次休暇日数については、20日間を限度に翌年に繰り越すことができますので、最高で40日間の年次休暇を取ることができます。

福利厚生

埼玉県内の市町村職員になると「埼玉県市町村職員共済組合」に加入することになります。
共済組合では、職員とその家族の福祉や健康を増進させるために、各種の補助や幅広い事業を行っています。組合員になると、病気やけが、出産、死亡、休業または災害に対して、必要な給付を受けることができます。また、退職・障害・死亡に対して、年金または一時金の給付も受けることができます。
そのほか、共済組合では、健康診査などの健康の保持増進事業、保養施設の運営、住宅資金の貸付などを行っています。
詳しくは、埼玉県市町村職員共済組合ホームページをご覧ください。
埼玉県市町村職員共済組合ホームページ
http://saitama-ctv-kyosai.net/

地方公務員の職種

地方公務員といえば、市役所などに勤務する「事務職」職員をイメージするかもしれません。しかし、ほかにもさまざまな職種があります。
土木や建築などの「技術職」、免許を必要とする「保健師」「看護師」「栄養士」「保育士」などの職、住民の生活を守る「消防士」など、自分の適性や専攻を活かせるバラエティに富んだ職種があります。

勤務時間

職員の勤務時間は、1週間あたり38時間45分で、月曜日から金曜日までの1日7時間45分となっているケースが一般的です。市町村により多少異なりますが、一般の事務職でいうと、休憩時間を含めて8時30分から17時15分までの団体が多いようです。
また、保育園や公民館、病院、消防署などに勤務する場合は、早出遅出や土日の勤務など、それぞれの業務の実態に合わせて個別に定められています。
なお、勤務時間中は、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用いなければならない旨、地方公務員法に定めがあります。

給与

地方公共団体が職員に対して支給する給与は、その地方公共団体の条例によって決められています。
県内における一般的行政職のうち、市町村の初任給基準は次のとおりとなっています。

大学卒(平均)高校卒(平均)
185,546円154,305円
町村182,643円152,004円

(平成30年地方公務員給与実態調査より)

(平成30年地方公務員給与実態調査より)

なお、給料の額は、職種や職歴の有無に応じて調整される場合があります。
給料のほか、地域手当、扶養手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当などの諸手当が、それぞれの支給要件に応じて支給されます。
給料については、1年に1回程度改定される場合が多いようです。

研修制度

職員になると、資質の向上と能力の開発を図るため、さまざまな研修を受ける機会があります。
一般的には、採用されると同時に新規採用職員研修があります。この研修では、公務員としての心構えや仕事をしていく上での基礎知識について学びます。その後も職務年数や昇任に応じて、必要な能力養成のための研修が行われます。
また、専門的な知識を習得したり、幅広い視野を養ったりするため、他の自治体や民間企業への派遣研修等が行われる場合もあります。

昇任

一般職の地方公務員は、成績主義の原則に基づき、昇任、昇給などが行われます。
一般的な昇任の例は次のとおりで、昇任するにあたり「昇任試験」を導入している市町村もあります。

※上記はあくまでも一般例です。職名なども市町村によって異なります。